7月2018年 真摯な生徒と優しいまなざし 小野寺伸二

ポコ・ア・ポコ

題名はスペイン語一歩ずつという意味

2018年 7 月発行

川口自主夜間中学

小野寺伸二

 

 

真摯な生徒と優しいまなざし

 

 私が川口自主夜間中学を初めて訪れたのは、昨年10月でした。市民パートナーステーションが開催した「日本語ボランティア入門講座」というのを受講してい て、その参考に、見学をさせてもらおうと伺ったのです。

 

受付でそのことを告げると「どこでもテーブルに入ってみてください」とのことでした。まだ始業したばかりの時刻だったのですが、教室 にはほとんど空いている席もない状況 でした。ドアに近いテーブルに空きを見つけたので「ここで、見学させてもらってもいいですか?」と尋ねると「どうぞ」と快く受け入れてもらえました。

 

そのテーブルでは、二人の先生がそれぞれ一人の外国人の生徒さんを前に、テキストを見ながら日本語を教えていました。先生も生徒も、真剣だけど楽しそう。そんな印象でした。

 

やがて、もう一人、中国人の生徒さんが見えると、先生の一人に「それじゃあ、あなた教えてあげてくれませんか」と言われました。突然のことに戸惑いましたが、先生が足りないとのこと。少しでも役に立つならという気持ちで、引き受けることにしました。

 

人にものを教えるような経験があまりない私 は、緊張と教室の熱気と、日本語をうまく説明できないもどかしさでいろいろな汗(?)をかきながら、生徒さんとテキストに取り組み、いつの間にか終了時間を迎えていました。苦労はしたけれど、不思議と楽しく充実した時間でした。

 

「来 週もよろしくね」先生の一人からそんな言葉をかけられた 私 は、異国の空の下で言葉を学ぼうとしている人たちの真摯な 姿 と、それを支える先生たちの優しいまなざしに感銘を受けて、今日もまた川口自主夜間中学 に足を運んでいます。